モニエル瓦とセメント瓦のメンテナンス方法
瓦屋根はメンテナンスフリーというイメージを持たれる方は少なくないでしょう。
瓦は屋根材としての歴史が長く、奈良県の元興寺では飛鳥時代の瓦が現在でも使われているといった実績もあります。
しかし、瓦屋根に使われる瓦であれば全てがメンテナンスフリーという訳ではなく、最近の家屋に使われている「モニエル瓦」や「セメント瓦」などは定期的なメンテナンスが必要です。
この記事では、モニエル瓦とセメント瓦、それぞれの特徴や違い、メンテナンス方法についてご紹介します。
モニエル瓦とセメント瓦のメンテナンス時期やメンテナンスのサインについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
モニエル瓦とセメント瓦の特徴
まずは、モニエル瓦とセメント瓦、それぞれの特徴についてご紹介していきます。
モニエル瓦とは
モニエル瓦とはセメント瓦の一種で、正式には「乾式コンクリート瓦」または「乾式用瓦」と呼ばれている瓦です。
元々は、旧日本モニエル株式会社(ラファージュルーフィング株式会社)が販売していた屋根材の商品名が、広く普及したことでそのまま屋根材名として定着しており、メーカーが解散する2010年に生産終了。それまで、多くの住宅の屋根材として使われていました。
モニエル瓦の主成分は、セメントと川砂で防水性はありません。そのため「着色スラリー」というセメントの着色剤が1mm以上と厚めに塗装されたうえから、クリアー塗料で覆うことで防水性を持たせています。
また、着色スラリーを塗装して使うことから、通常の瓦に比べると防水性や耐火性、遮熱性や防音性などに優れているうえ、着色スラリーを使うことでデザインの多様性もある優れた屋根材です。
ただし、着色スラリーは定期的に塗り替えのメンテナンスが必要になるため、瓦屋根であってもメンテナンスフリーという訳にはいきません。
セメント瓦とは
セメント瓦は、セメントと川砂を重量比1:2~1:3で混ぜて成型、塗装した瓦のことをいいます。
先ほどご紹介した、モニエル瓦もセメント瓦の一種です。
セメント瓦は、その名の通りセメントが主成分となっているため、建材として丈夫で耐用年数も約30年以上と長いのが特徴です。
また、セメントを原料としているため形を加工しやすく、和瓦に似せたデザインから洋瓦まで種類が豊富なうえ、好みの形に作りやすいため屋根や建物などのデザインと合わせやすいといった利点もあります。
ただし、セメント瓦の主成分はセメントのためそのまま瓦として使用することができないため、表面に塗装しなくてはいけません。
セメント瓦そのものの耐用年数は約30年以上と長くても、表面に塗装する塗料については30年以上もたせることができないため、定期的に塗装を塗り替えるメンテナンスが必要になります。
モニエル瓦とセメント瓦の違い
いずれも定期的な塗装のメンテナンスが必要なモニエル瓦とセメント瓦ですが、違いについてご紹介していきます。
比較するもの | モニエル瓦 | セメント瓦 |
---|---|---|
色 | 自然な色合いがあり、茶色や赤茶色、灰色などがある。 | より人工的な色合いがあり、色彩豊かなものが多い。 |
表面の質感 | 表面に凹凸があり、手触りがしっかりしている場合が多い。 | 表面が平滑であり、手触りが滑らかな場合が多い。 |
小口 | 平らで滑らかな仕上がり。 | 凹凸がある。 |
重さ | 軽量のものが多い。 | 比較的重いものが多い。 |
色については、モニエル瓦は自然な色合いが多くセメント瓦は人工的な色合いが多い特徴があります。
また、表面の質感はモニエル瓦は手触りがしっかりしているのに対して、セメント瓦は手触りが滑らかな傾向にあります。
小口についても違いは大きく、なめらかな仕上がりになっているモニエル瓦に対して、セメント瓦は凹凸があるのが特徴です。
重量についても正反対で、モニエル瓦が軽量なものが多い一方、セメント瓦は重いものが多い傾向にあります。
モニエル瓦はセメント瓦の一種ではありますが、それぞれの違いは大きいため、屋根材としても仕上がりも大きく異なるのが特徴です。
モニエル瓦のメンテナンスが必要な時期とサイン
モニエル瓦のメンテナンス時期は、一般的に築10年前後といわれています。
築10年前後というと、外壁塗装の塗り替え時期と重なりますので、外壁塗装と併せて実施される方も多いです。
外壁塗装と瓦のメンテナンスの同時メンテナンスを検討されている方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
また、次のような症状が見られたら、そろそろメンテナンスのサインとなりますので、定期的に確認してみてください。
色あせ
モニエル瓦の表面が色あせくすんでいるように感じたら、そろそろメンテナンスが必要なサインとなります。
日々の紫外線や雨風によって表面に塗装されている着色スラリー層が弱り、色が抜け始めている状態です。
ひび割れ
厚みのあるモニエル瓦ですが、経年劣化によってひび割れることも少なくありません。
モニエル瓦の主成分であるセメントは、水を吸うと膨張し乾燥すると収縮します。こうした動きは気象によって繰り返し起こりますが、長年続くと瓦に負荷がかかりひび割れとなって現れます。
ひび割れている部分は、すでに塗装の防水性がなくなりしばらく経っていることを意味するため、早急にメンテナンスが必要です。
ひび割れは放っておくと、次第に悪化しやがて欠落する可能性もありとても危険ですので、注意しましょう。
ずれ
不適切な施工や強風などの影響でモニエル瓦がずれてしまうことがあります。
ずれた瓦はそのままにしておくと、欠落する可能性があるためとても危険です。
モニエル瓦のずれを見つけたら、早急に業者にメンテナンスを依頼するようにしましょう。
塗装のはがれ
モニエル瓦の塗装のはがれもメンテナンスのサインになります。
塗装のはがれは見た目が悪いのはもちろん、表面に塗装されている着色スラリーが剥がれていることで防水性や耐久性が低下し始めています。
ひび割れやずれに比べると緊急性は高くありませんが、早めにメンテナンスを実施されることをおすすめします。
コケ・カビ
瓦の表面に黄色や茶色っぽいブツブツとしたものが現れたら、その正体はコケやカビが付着しているため、メンテナンスのサインとなります。
コケやカビが付着しているということは、瓦の表面の防水性が切れている証拠となります。
また、カビやコケが進行することで瓦内部にまで根が張られるとモニエル瓦の主成分であるセメントをもろくしてしまうため、耐久性も低下します。
瓦にコケやカビが付着していたら、早めにメンテナンスを検討しましょう。
セメント瓦のメンテナンス時期とサイン
セメント瓦の耐用年数は約30年以上と長いものの、表面に塗装されている塗料の塗膜が劣化するため築10年前後で塗り替えのメンテナンスが必要です。
モニエル瓦同様、外壁塗装の塗り替え時期と重なりますので、同時にメンテナンスをされる方が多い傾向にあります。
また、次のような症状が見られたら、そろそろメンテナンスのサインとなりますので、定期的に確認してみてください。
色あせ
モニエル瓦の表面に塗られている塗料は、経年劣化によって少しずつ色あせが起こります。
色あせが起こるということは、塗料を塗った表面の塗膜といって外部からのダメージを守る働きのある膜の劣化が進んでいることを意味するため、塗り替えを検討する時期といえるでしょう。
ふくれ
ふくれは、瓦に塗られた塗料がはがれて表面がふくれている状態をいいます。
ふくれを放置していると、次第に塗装が剥がれてくるため注意が必要です。
屋根の場所によっては直接確認することが難しいところもありますが、目で見える範囲で塗膜が膨れているように見えたら、塗装業者に全体の確認も併せて相談してみてください。
はがれ
セメント瓦の塗装のはがれもメンテナンスのサインになります。
塗装のはがれは見た目が悪いのはもちろん、塗膜が剥がれていることでセメント瓦の内部がむき出しになり、防水性や耐久性が低下します。
ひび割れやずれに比べると緊急性は高くありませんが、早めにメンテナンスを実施されることをおすすめします。
ひび割れ
セメント瓦は塗料の経年劣化によってひび割れることも少なくありません。
ひび割れている部分は、すでに塗装の防水性がなくなりしばらく経っているため、早急にメンテナンスが必要です。
ひび割れは放っておくと、次第に悪化しやがて欠落や雨漏り、内部の建材の劣化が起こる可能性がありとても危険です。早急に塗装業者へ相談されることをおすすめします。
ずれ
セメント瓦はけいれん劣化によってずれてしまうことがあります。
ずれた瓦はそのままにしておくと、欠落や雨漏り、内部の建材の劣化が起こる可能性がありとても危険です。
セメント瓦のずれを見つけたら、早急に塗装業者にメンテナンスを依頼するようにしましょう。
モニエル瓦のメンテナンス方法
ここからは、モニエル瓦のメンテナンス方法について、ご紹介します。
- 高圧洗浄を実施
- スラリー強化プライマーで下塗り後、ガムテープでスラリー層の粘着テストを行う
- スラリー層がガムテープに付着しないようなら、中塗りと上塗りを実施
スラリー層がガムテープに付着したら再度、スラリー強化プライマーを塗布して粘着テストを行う(付着しなくなるまで繰り返し) - 漆喰の剥がれが見られたら、漆喰の詰め直し
または、漆喰を除去してハイロールを使った棟瓦取り直しを実施
※ハイロールは漆喰より軽量で耐震性が向上、耐用年数も長くなるためおすすめです。
なお、モニエル瓦のメンテナンスは、屋根工事・屋根リフォーム会社や塗装業者、ハウスメーカーなどに依頼するのが一般的です。
セメント瓦のメンテナンス方法
続いて、セメント瓦のメンテナンス方法について、ご紹介します。
- 高圧洗浄を実施
- 下地がざらついている場合はフィラー、ざらつきがなければシーラーと状態によって下塗り材を変えて下塗りを実施
- フィラーを塗布してもざらつくようなら重ね塗りを実施
- 中塗りと上塗り、仕上げの2回塗りを行う
その後は、モニエル瓦と同様、漆喰の剥がれが見られたら漆喰の詰め直しまたは、漆喰を除去してハイロールを使った棟瓦取り直しを実施します。
セメント瓦のメンテナンスもモニエル瓦と同様、屋根工事・屋根リフォーム会社や塗装業者、ハウスメーカーなどに依頼するのが一般的です。
まとめ
モニエル瓦とセメント瓦は、瓦屋根のなかでもメンテナンスが必要な瓦です。
メンテナンスの時期は、築10年前後が目安。ちょうど外壁塗装のメンテナンス時期と重なることが多いため、屋根の塗装と外壁塗装を同時に行う方も少なくありません。
屋根と外壁のメンテナンスを同時に行うことで、高所作業には必要不可欠な足場の設置が一度で済むため、コストを抑えられるといった利点もあります。
「はまだ真心塗装組」では、姫路市近郊の外壁塗装・屋根塗装を行っています。お客様が納得し、安心して依頼できるよう丁寧に説明しとことんサポートしています。
瓦のメンテナンスはもちろん、外壁塗装と屋根修理の同時施工も行っていますので、メンテナンスを検討されている方は、ぜひ「はまだ真心塗装組」に相談してみてください。